まじめっ娘とイケメンくんの恋
初めての×××


車が着いたのは
高層ビルが立ち並ぶ場所にある
パーキング。


「降りるぞ」


「何?何か食べるの?」


「お前まだ食べるのか?
グラタン食ってたじゃねーか」


そうですけど そうでないなら
こんなところへ来て何を?


謙太さんはお店ではなく
一軒のホテルへと入った。


「予約していた渡辺ですけど」


ホテル?
予約???


「お待ちしておりました
これがルームキーです
お部屋は30階の3120室でございます」


手続きを済ませキーを受け取り
エレベーターへ。



急に体が強張る。


30階に上がる間
心臓がドキドキして
謙太さんを見ることも
言葉を発することも出来なかった。


部屋からは100万ドルの夜景に
負けないくらい眼下に美しい景色が
広がっていた。


その景色を見た瞬間
緊張感が薄れた。


「わっ!!!きれー!
見て見て!謙太さん」
1面ガラス張りの場所へ駆け寄ると
「やっといつものあやっぺに戻ったな」
と あたしの元へやって来た。


「それは?」


「ここが固まってんのか?って
いうぐらい無表情で黙り混んでさ」


とあたしのほっぺをつねる。


「だって・・・ここホテルだよ?
あ・あのぉ~ここに何をしに?」


「何を?って泊まるためだよ」


「泊まる?」


「そう」


「そうって・・・
うちに泊まれば良かったのに
もったいなくない?
高いでしょ?こんなところ
うちなら無料なのに」


「よく言うよな!
初めては心に残る演出とか場所とか
言ってなかったっけ?
だからツレに無理言って
ここを押さえてもらったんだよ」


・・・初めて・・・
と言うことは・・・うそっ
今から???


「いつ予約したの?」


「一時間前かな?」


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