副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
secret 3

まだ俺に何か隠してるの?

「おはようございます」
朝、副社長室に行く前に莉乃は秘書課に寄ると、常務秘書の夏川真美 28歳と社長秘書の千堂大輔 32歳、そして秘書室長の牧信一郎がいた。
「おはよう、水川さん。今日の役員会の時間を社長のご都合で15時に変更したいんだけど……副社長の予定大丈夫かな?」
莉乃は牧に尋ねられると手帳を出し、今日のスケジュールを確認した。


「はい。調整します」

「頼むよ」
表情を崩さずに答えた莉乃に、牧は笑顔を向けた。


「水川さん、今日の役員会荒れそうだ」
社長秘書の千堂が小声で言った言葉に、莉乃も小さく頷くと千堂を見た。

「……そうですね。常務と副社長……ですよね」
夏川には聞こえないように、莉乃も小声で言葉を返すと顔をしかめた。

常務の木下純也(45歳)は社長の右腕として働いてきて、次期社長候補ともいわれていた。
そして、木下本人も野心に満ちた人間で、副社長の席を虎視眈々と狙っていた。

しかし、アメリカから帰ってきた、誠が数年でそのポジションに就いた事をよく思っていなかった。

莉乃は不安に思いつつも、「失礼します」と秘書課を後にした。
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