クールな御曹司にさらわれました
7.このままではいられません



パーティーがあるから準備をしておけ。

そんなことを言われたのは、ピクニックから数日後のことだった。

「来週の金曜だ。社交界というものはいまだにある。多少はタマも慣れておくべきだ」

尊さんにそんなことを言われ、昼間から準備をするという名目で有休も使わされた。まあ、今まで車田課長が怖くてなかなか有休とれなかったから、結構溜まってる。別にいいんだけどね。

ピクニック以降、いわゆる花嫁修業がまったくなくなったことも変な話ではあった。尊さんの愛の告白をされて以来、以前のような毎日時間割制のレッスンこそなかったけれど、日常英会話や日本舞踊なんかは尊さんが時間を見て教えてくれていた。それらがあっさりお休みになったのだ。

さらに私は、空いた時間にヘアサロンやらエステやらに突っ込まれるという悪夢を味わっていた。仕事後、サラさんが迎えに来て、一般人は入れないであろうお城にしか見えないサロンに連れ込まれ、全身ぴっかぴかに磨き上げられる。エステに興味がなく、しかもくすぐったがりで触られるのが苦手な私は連日ぐったりと疲れていた。

はー、パーティーに参加ってこんなに大変なの?どういうものかわからないから従うしかない。
あんまりみすぼらしい格好じゃ、尊さんに恥かかせちゃうしね。

当の尊さんは忙しい様子で、夕食では会えていない。
朝食のときはそれでも話すけれど、前より忙しそう。体調くずさないといいけど……なんて、このパーフェクト超人には無用な心配ですね。はいはい。
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