呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
もう一度、不器用な恋を貴方と。

あれから、微妙な空気が互いに流れ無言のまま車を走らせた。
だって、今更あんな事言われても。
あんな顔を見せられても。


何て答えたらいいのか、さっぱりわからなかった。

だけど、喫茶店からパーキングまでだけだとしても、初めて二人で歩いた。
初めて雄大の車に乗せて貰えた。


本当は、涙が出るくらいドキドキした。


初めてがこんな時なんて。


再び外に視線を向けるしかなくて、流れる景色に意識を集中する。
何となく見覚えがあるような……ないような?


何処だっけ?
何とか思い出そうとキョロキョロしてしまう。
あっ、ココ幼稚園の近くの公園だ……

えっ、嫌だ。
どうしよう。

胸騒ぎがして、冷や汗が流れる。


挙動不審になりながら手をぎゅっと膝の上で握りしめた。


予想通り車は公園近くのマンションに入っていって。
地下の駐車場にゆっくりと停車した。

あぁ、ここは……



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