君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
6.タイムリミット
特にすることがないなんて、こんなにも暇なんだ。
静かすぎるこの部屋。時々風の音が聞こえるくらい。

少しくらいなら…。

そう思って、そっと扉を開く。

太陽に照らされた城は、昨日の夜とはまた違った景色を見せてくれた。
あの大きな白のどこかに、カナトがいるんだ。
今頃何してるのかな。王国を守るために奔走してるところかな。

その時、どこからか猫の鳴き声が聞こえた。

ミーミーというよな、まだ鳴き慣れていない声。

「子猫かな。
どこにいるんだろう」

声の出所を探ろうと、部屋の外をぐるっと見て回る。
ずっと声だけは聞こえているのに、肝心の姿は見えてこない。

そんな子猫に気を取られて、近づいてくる人影に全く気付かなかった。

「貴様!そこで何をしている!」

銃を構えた兵士が、鋭い目つきでそこに立っていた。
下手なことを言えば今にもその引き金を引かれてしまいそう。

これは…。
絶体絶命のピンチだ。
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