熱砂の国から永遠の愛を ~OL、砂漠の国のプリンスに熱愛される~
終章

ターミナルビル。

せめて飛行機が、飛び立っていくところを見れば……

上に上がろう。
展望台どこだろう?

送迎デッキの看板が見えた。
そこに行こうとすると、池山さんに止められた。


「美夜ダメだよ。羽田行きの便、すぐに出るから」

「少しだけなら……」

「ダメ。レンタカー返す手続きしなきゃいけないだろう?」

「うん」

池山さんが、肩を抱くようにして腕を回してきた。


池山さんの腕の中から見える範囲で、ガラス窓から滑走路が見える。
池山さんが全部手続きをしてくれた。

私はその間ずっと、飛行機が飛ぶのを待っていた。


飛行機はすぐに飛び立ったのだろうか。

それとも、ここからは角度が悪く、建物の陰になって見えなかったのだろうか?

彼が乗った飛行機を見送ることが出来なかった。



「美夜。そろそろ搭乗口に行こう」

羽田までの飛行機のチケットを渡してくれる池山さん。

「さあ、行くよ」


池山さんに背中を押され、飛行機へ乗り込む。

こうなること、ファイサルはもう私のことなんか、忘れてるんじゃないだろうかと思ってしまう。
< 247 / 295 >

この作品をシェア

pagetop