誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
〜第3章〜



久しぶりの学校。



小さい連休だったからか、生徒たちにこれといった変化は見られなかったけど、学校の雰囲気は少し変わっていた。



「……テスト?学園祭?」



黒板に大きく書かれた2つの文字。



「そろそろテストがあるから気合いいれろよ。
もし、赤点とった場合……。」



ゴクリと誰かが固唾を飲んだ音がした。



「夏休み補習があるからな。」



その瞬間、クラスからのブーイングが巻き起こった。



「なんでだよー!!」



「俺たちの夏休みが……。」



「ぜってー補習だけは嫌だっつーの!!!」



あぁ、これぞ男子高校生の逆襲か。



「だったら……ちゃんと勉強すればいいだろうが。」



神城先生の一言で、たった数秒の逆襲は鎮圧されてしまった。



〈呆気ないわね。〉



「本当にな。」



もう少し反抗すれば面白そうだったのに。



まぁどっちにしても私には関係ないかな。



これでも学力は中くらいだし。



そこまで考えて、ふと横を見る。



そこはポツンと空いた空席。



楽は、今日も休んでいた。



風邪、そんなに長引いているのかな……。



ただの風邪なはずなのに、なぜか胸に引っかかった。



「次は学園祭な。
クラスの出し物決めるぞ。」



神城先生の言葉に、クラスメイトは各々の意見を出し始めた。



だが……、










〈女装カフェにコスプレ喫茶……ねぇ。〉



どれもくだらない男子高校生の象徴だった。



「……絶対やりたくない。」



この学校の学園祭は一般公開される。



女子が来ると言うだけでも嫌なのに。



ここには姉妹校があり、その女子高の生徒との合同イベントもあるらしく……。



今回は見物かな。



「あ、イベント出ない奴も補習だからな。」



何故か私の方を見ながら言われた。



クソッ、この腹黒教師が……。



「剣城。何か言ったか?」



「……別に。」



思っただけだっつーの。



エスパーかなんかか、あの教師は。



「めんどくせーから多数決だからな。」



その結果……。



「んじゃ、女装カフェっつーことで。」



そりゃあもう音が付くほど……崩れ落ちた。



やりたくないやりたくないやりたくない。



まだ補習の方がマシ。


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