王様と私のただならぬ関係
動いてるんですか?



 お昼休み。
 明日香たち、新入社員がみんなで社食で食べているとき、研究棟の話になった。

「すごく綺麗な研究員の人が居たね」
と人事の若菜が言ってくる。

 明日香は、
「あー、あのポスターの人」
とうっかり言って、

「ポスター?」
とみんなに訊き返されてしまった。

「ああ、あの王子様みたいな人」
と真美が笑う。

「王子様? 葉月秀人《はづきひでと》のこと?」
と声がした。

 明日香の配属された総務の今森緋沙子(いまもり ひさこ)だ。

 少し気が強そうだが、如何にもお姉さま、と言った感じの先輩だ。

「お疲れさまですっ」
とみんなで一斉に挨拶しながら、明日香は、なんか出所してきたアニキを出迎えてるみたいだな、と思っていた。

「此処いい?」
と空いている席に座りながら、緋沙子は言う。

「あれ、王子様とかいうような可愛らしい代物じゃないわよ。
 まったく人の言うことを聞かないんだから。

 所長の言うことも聞かないのよ」

 ……それは駄目だろう。
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