王様と私のただならぬ関係
ゴミに出して捨ててやります
 



 明日香がドアを開けるより、少し前。

 どうしようかな。

 日々、いろんな理由をつけては、明日香の部屋に来ていたが、と思いながら、秀人は扉の前にたたずんでいた。

 すると、勝手にドアが開く。

 明日香が顔を覗けた。

 自分がなにも言わないでいると、明日香もまた、沈黙したまま、少し見て、閉めようとする。

「待て」
と足を突っ込むと、

「……刑事ですか」
と言われた。

 それでというわけではないが、警察手帳のように、手にしていた紙袋を突きつける。

「茶碗だ」

「なんでうちに持ってくるんですか」

 まったくだ、と思いながら、

「お前が自分で買うようにないから。
 それに、お前は自分からは、うちに来ないじゃないか」
と言った。

 ただの此処に来る言い訳だったが、幸いなことに自分は表情には出ないから。
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