【短編】泣き顔記念日
片想い


七瀬は、いつだって泣かなかった。


幼稚園のころ、節分で鬼がやってきた時も、

小学生のころ入った、お化け屋敷も。


先に泣いたのはいつだって僕で。


彼女はそのたんびに、僕の手をギュッ捕まえて「大丈夫」って笑っていた。



そう。


君はどんな時でも笑ってた。



転んだ時も、怒られた時も。



ずっとずっと。




でも、そんな君が最近は笑わなくなった。


いや、正確にはあの頃のように無邪気に笑わなくなった、が正解かもしれない。



< 1 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop