冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
エピローグ



人目をひかずにおかない硬質な美貌も、意志を宿してきらめく黒曜石の瞳も、そしてフロイラをかばって立ち上がった背中も、ルーシャとクラウスはよく似ている。

それは二人が兄妹だから・・・ではなかった。

ことのあらましを聞かされてみれば、なぜ気づかなかったのかと思うくらいだ。
ルーシャは少女の格好をした、幼い日のクラウスだった。


「どうして・・どうして最初から教えてくださらなかったのですか!?」
衝撃と混乱に頭も体もぐらぐらと揺れる。

「言えるわけないだろ」
拗ねた子どものような台詞が返ってきた。

「だってわたし・・・クラウス様に何度も・・」

本人に向かってルーシャに会いたいと懇願していた自分の言動を思い返すと、冷や汗どころではない。

できればクラウスとしては、少女の格好をしていた過去など伏せておきたかったのだと、ようやく理解が追いついてくる。
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