過保護な騎士団長の絶対愛
太陽なき監禁
 いったい、ここはどこなの――?

 ほんのりと薔薇の香の香りがする。意識が浮かび上がり、ララが目を覚ますと見たこともない部屋にいた。大きな天蓋つきのベッド、そして大理石の床にはベルベットの絨毯が敷いてある。高価な陶器でできた飾り皿がいくつも棚に飾られていて、煉瓦の壁には風景を描いた絵画が掲げられていた。

客人を招いた時に使う部屋のようで、さほど広くはないがコルビスの自室よりも豪華な内装にララは心細さを感じた。


 太陽の輝きの下で健やかに過ごし、草花に囲まれて剣術で汗している方が、こんな飾った部屋にいるより安らげるのに。

 なぜ、私はここにいるの――?

 窓の外を見ると、闇に包まれた夜空が広がっている。鉄の格子がついている分厚いガラス窓を見ると、逃げられないようにするためだと言われているようだった。

 そうだ。私はガイルと話していて――。

 そこから記憶がない。薬のようなものを嗅がされたことだけは覚えている。ということは、自分は監禁されているのだ。とようやくララは理解した。すると。


「お目覚めですか?」

「ッ――」

 誰もいないと思っていた部屋に、女性の声がしてララは身体をびくつかせた。天蓋の透けた向こうに、年嵩のいっている侍女がまるでララを見張るように部屋の隅に立っていた。
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