溺愛CEOといきなり新婚生活!?
守りたい人

「お疲れさまです、上遠野さま」

 金曜、二十時。今日は残業の予定だったから雅哉さんとは次の土曜に会うことになっている。
 会社を出た私の前に、見たことのある黒塗りのセダンが停まっていて、九条さんが待ち構えていた。


「九条さん、こんばんは」
「お迎えに上がりました」
「……永井さんですか?」
「はい」

 ここで断れば、九条さんが困るのだろう。彼の案内に従って後部座席に座り、走り出した車に身を任せた。


「永井より、本日も社の方へお連れするよう言われておりますので、ご帰宅が後になってしまいますが、ご都合はよろしいでしょうか」
「……今、予定があると言っても、引き返してくれないんですよね?」
「申し訳ありません。永井の命令ですので」

 家に帰れば、いくらでも話せるのに。
 こうして迎えに来る永井さんの意図は、未だにわからない。


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