わたし、結婚するんですか?
わたし、結婚するんですか?





 なんの夢を見ていたのかわからない。

 ちょっぴり泣きそうになって目を覚ますと、ぼんやりとした視界の中、誰かが自分を覗き込んでいるのが見えた。

「大丈夫か? 洸(こう)」

 ……誰だっけ?

 見たな、この顔、と洸は思った。

 よく見る顔だ。

 鼻筋の通った、男なのに色白の顔。

 整い過ぎていて面白みがないな、といつも思ってた。

 ……なんでこの顔が、こんな間近に? 

 そう思いながら、洸は寝たまま、辺りに視線を巡らせる。

 見たこともない部屋だ。

 ロッカーがたくさんある。

 そして、洸の身体は、公民館とかによくあるような、合成皮革の茶色いソファの上にあった。

「此処、何処ですかっ?」
と叫び声を上げながら、いきなり起き上がった洸は男と額で激突してしまった。

「考えて起きろーっ」
と怒鳴る男に、洸は思わず、

「課長が避けないからじゃないですかっ」
と怒鳴り返していた。
< 1 / 368 >

この作品をシェア

pagetop