plane~空港で出会えた奇跡~
【あの人】がどうしても気になる!
出勤の準備を済ませ、何時もの千代田線で通勤する。
満員電車は本当に鬱陶しくなるし、座れない現実が中々受け入れられない日々だけど、鉄道が好きだから文句ばかりを垂れ流すのは良くない。
私の名前は碧。
職場の人から【あおいちゃん】と呼ばれる事があるけれど、正しい読み方は【みどり】だ。どうやら、私が生まれた時、両親に連れて行かれた大阪・堺にある鳳大社で【碧】と名付けられたらしい。
子供の頃、周囲に同じ様な名前の子が殆ど居なくて、「【みどり】って変わった名前だな。」と言われた事がよくあったけど、今となってはそれも(ある意味で)素敵な思い出だ。
今日も、自分の名前に誇りを持って職場に向かった。
事務仕事はPCをメインで使うから中々楽しいのだけれど、この日ばかりは、夢の中で出会った彼の事が頭から抜け出せず、仕事中も彼の事ばかり考えていた。
「あの時計台、一体何処にあるんやろか?」
確か、彼に出会った時計台はとっても大きかった。詳しい形は覚えていないけど、昔からある大学のキャンパスに設置されている、所謂“歴史的建造物”と言う建物だった事は間違いない。
勿論、自分が卒業した鳥取の大学なんて比較にならない程大きな大学だったーーー。
キャンパス自体は実在するかどうかは分からないけど、若し実在するのだったら【現実世界】で訪れたいと思っている位だ。
「単なる妄想に過ぎへんけど、彼の通ってる大学って、すっごく賢そうな感じがしたんよね♬」
夢の中で私を呼び求めた彼は、見るからに理知的な大学生だった。
若し、“夢の続き”が見られるなら、もう一度彼に会いたい。
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