恋人は魔王様
2.強引な契約
私は深呼吸しながら、腕から抜け出し、もう一度目の前の男を見た。

身長は180センチを越えている。
(いつも170センチの笑麗奈を見てるから、それと比べてだいたい合ってると思うんだよね)
細身、なほうかな?
それとも、意外と筋肉質なのか、は、黒いスーツを身にまとっているので良く分からない。ちなみに、まるで葬式帰りかのような黒いネクタイに黒い靴。
どれもこれも、とても上質な感じだった。

長めの黒髪は軽くウェーブしていて、彼の顔にかかっている。
それが影を作っているのか。
卵型、と称して問題のない輪郭。
日本人だとしたら、色白の部類に入ると思う。
白人との混血だといわれれば、納得できるくらいの肌の白さ。

紅い唇。
筋の通った鼻。
そして、どことなく冷たさを湛える三白眼。
長い睫毛。
若干上が尖っているようにも見える耳。
そこには、シルバーのピアスが光っていた。

繊細そうな、長い指。
その指に飾られたシルバーのリングは、髑髏の形。

その存在感はミュージシャンのようでもあり、舞台俳優のようでもあった。



やっぱり、どこをどう見ても、知り合いだとは思えない。


ああ、これってもしかしてドッキリ?
今からテレビ局の人が看板持って現れるんだ。



きっと、そうに違いない。

そうだとしたら、今なら怒らないから、今すぐでてきてよ、スタッフ!!





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