知らなかった僕の顔
夏だ!野球だ!サッカーだ!
「いやぁー、アツはナツいね!」

持ち込んだ3本目のビールを飲みながら矢島さんが言った。


そんな古いギャグを僕と森若ちゃんは無視する。


矢島さんは、僕の部屋の中央にどっかりと座り、テレビの野球中継を観ている。

矢島さんが毎日のように僕の部屋へ来るようになってしまったのは、ちょっとした油断からだった。


僕に醤油を借りに来て無駄足を踏んだ翌日、ついに『プロ並の煮物』を作ることに成功した矢島さんは、僕らにおすそわけをしてくれた。


それが、きっかけだ。


躊躇なく食べた森若ちゃんにも驚いたけど、確かにそれは絶品だった。


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