はちみつドロップス
恋敵は親友……?

バイトの帰り道。



途中まで一緒に歩いていた慶斗と別れ、一人で歩く帰り道で皇楽は不意に空を見上げていた。



頭に浮かぶのは数時間前の出来事。



思いがけず見つけてしまった天の涙は、あまりに普段の姿からかけ離れ過ぎて皇楽の頭から当分出ていきそうになかった。



そして、慶斗が別れ際に残したセリフ。



「昼休みに言ってた言葉の意味わかった?」



言われた言葉の意味がピンと来ず訝しげに首を捻った自分に、



「……いい加減気付いてあげないと好きでいてくれなくなるよ。高宮」



何でも無いようにいつもの爽やかな笑顔で去っていく慶斗にただ呆然とすることしか出来なかった。



自分の言葉で涙を流す天を見た瞬間、ようやく慶斗や藍楽や聖梨が言ってたことに納得がいった。



しかし。
一度として恋愛対象として見てこなかった天の気持ちに気付いたところで、自分の頭も感情も上手く状況について来れていない。



それどころか、



「……有り得ねぇ」



天の気持ちから目を逸らして、頭のどっかでまだ否定し続けている自分が居た。


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