私立秀麗華美学園
1章:姫君と騎士と救世主
俺たちの出会いは小学2年生の時。

父親に連れられて行ったのは、月城の系列の大きなホテル。
その最上階のラウンジに彼女はいた。
生意気に足を組み、ノンアルコールシャンパンのグラスを傾けた、小学2年生だ。


ただ者ではなさそうなオーラにまかれ、ショーウインドウに並ぶ人形のように可愛い顔をした女の子に一目惚れして、数時間後だった。

その子が俺の婚約者だと知らされたのは。

俺は幼いながらに相手の反応を伺っていた。
彼女は眉間にしわを寄せ、小2にあるまじき難解な表情をしていた。




俺たちが通わされていたのは、会社の重役やお偉いさん方の御子息・御令嬢ばかりの通う、超エリート校。
頭の方はもちろんのこと、礼儀や身のこなし、あらゆる方面において最高を目指し叩き込まれる。


学園内で個々の生徒は、いわばその家や会社の顔だ。

自由は限られた範囲内でのものとなる。



そんな中で俺は彼女と出会い、無条件に婚約者という地位を手に入れることができた。
すさまじい確率の中で起こった人生最良の出来事だ。

あの日から今までずっと、そんな風に思い続けている。

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