【実話】ありがとう…。
‡第八章 永遠の別れ‡
昨日の不安は消えてくれず、急いで病院へ向かう。


病室の前にあった、予防衣を入れるロッカーが無くなっている。


2日間来てないし、看護師に確認してから入ろうと思い、看護師に声を掛ける。


「あの…」



「あっ、佐藤さんの…。佐藤さんなら、昨日の11時過ぎにICUへ移りました」



「えっ……分かりました。すみません」

頭を下げ、足早にICUへ向かい、インターホンを鳴らすと、看護師が出て来た。


「あの…佐藤孝行に会いたいんですけど」



「ご家族以外の面会は出来ません」



「彼女…彼女でもダメですか?」

必死だった。

どうしてもたかさんに会いたかった。

会って、ちゃんと自分の目でどんな状態なのか、確認したかった。


「Dルームの方に、ご家族の方が泊まってますので、そちらでお話下さい」

ICUの中へ入って行く看護師…。



急いでDルームへ行くと、憔悴しきったお母さん―‐。


「お母さん…」



「望…」



「どうして…直ぐに連絡くれなかったんですか?」

と、喉まで出かかって…言えなかった。


それどころじゃなかったのかもしれないと思い、何も言わなかった。


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