公爵の娘と墓守りの青年
四章 影でうごめくもの
時は、カイとネレヴェーユが再会する少し前に遡る。


クウェール王国の王都ルヴィアの中央に位置するクウェーヴィア城内。
その城主で、若き国王ウェルシールは誰にも知れず嘆息していた。

(大事な会議って言ってたけど、この会議の何処が大事なんだろう……。全く大事な話ではないじゃないか)

心の中で嘆きつつも、ウェルシールは周りの者達に愛想笑いを浮かべる。
ここは城内にある大きな会議室で、ウェルシールの周りには彼を支える貴族達と大臣。ウェルシールと対抗しているトイウォース本人とその彼を支える貴族達が集まっていた。
そんなお歴々が集まって、一体、どのくらい大事な会議なのだろうとウェルシールは身構えていたが、内容は彼にとってあまり大事ではなかった。
その内容は、ウェルシールの結婚相手についてだった。
父王が急逝したため、やらなければならないことが山積みの今、結婚相手を選び、仲良くする余裕はウェルシールにはない。
それに、まだ結婚をする気は毛頭なく、公務に慣れていないため、ウェルシールにとって書類との戦いの方が先決だ。
書類を減らすためにも、会議をする時間さえも惜しい。
昨日、城を抜け出して墓守りの青年カイに会いに行ったツケが早速回ってきたのだ。
正直、早く終わりたい。
それが今のウェルシールの願いだ。
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