心 ―ハジマリノウタ―
第五章

Reason Of Wound





それから、私は毎日医務室へ通った。


リヴィアは歩けるようになったにしろ、

重傷だったため、

完治したわけではなかったからだ。


歌を歌おうか、と申し出たが、

リヴィアに




「あの歌は悲しい。

だから、この傷は自分で治すよ」




と、そういわれてしまったのだ。


レイもまだ任務に行ったっきり、姿を見ない。


リオに関しては、何の情報も無いままだ。


リオがいない分、

メイの姿もぷっつり見かけなくなった。


私は薄暗い廊下を進みながら考えた。


こんなことは初めてではないだろうか、

やることが無い、などという日々は…。


ここに着たばかりのときは、

リヴィアに連れられ、鍛錬に行っていたが、

能力が分かった今、

その必要も無くなり、その相手もいない。


話す相手もいなければ、

リヴィアに話す内容も無く、

ただ時間が過ぎるだけの毎日だった。


この空虚な感情をリヴィアは、

退屈、と呼び、

そんな私の表情を見て、おかしそうに笑っていた。


目的地に辿り着いた。


軽くノックをすると、中からの返事が無い。


首を傾げて、そっと扉を開けると、

そこにリヴィアの姿は無かった。



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