知らなかった僕の顔
さよならゲーム
このところの記録的な暑さは、すっかり僕をまいらせていた。


かろうじてバイトには行くものの、それ以外の時間は極力外に出ることは控えるようにした。


森若ちゃんがリサイクルショップで見つけた、年代物のやたらと重たい扇風機の前に座るのが僕の定位置になっていた。


「夏なんか早く終わってくれ…明日から突然秋にならないかな…」
僕は、うつろな目で言った。


「夏なんて、もうすぐに終わるよ。気づけばあっという間に、木枯らしの季節だよ」

森若ちゃんが笑って言った。


「いつか秋が来るなんて、今は信じられない気分だな…」
僕は、顔の汗をTシャツで拭った。


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