月光狂想曲‐悪魔の花嫁‐
夫々の苦杯



『シルフィア、シルフィア。』


目の前でウァルドが呼ぶ


ウァルドが…?



「あ、ごめんなさい…!!
何か御用でしょうか?」


『御用も何も…、ただ呼んだだけだ。
ぼーっと突っ立っていたからな。』


そう言ってウァルドはまたそっぽを向く


なんだ…呼んだだけか


『おまえは俺の事だけを考えとけばいい、俺の事だけを。』


そう言ってウァルドは苦り切った顔をした


「……。」


やはりウァルドはまだ苦杯 に蝕まれ、今だにその傷から赤い鮮血を流している


振り向かす


とはいったものの、実際私はウァルドのために何もできないでいた






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