ハッピー☆ハネムーン
もっともっとあなたに

自分が思っている事を
相手に伝えるって難しい。


言葉にして。

行動にして。

形にして。



ありとあらゆる方法で
なんとか気持ちを伝えたくても


相手がわかってくれるのは
きっと全部じゃない。


今、こう思ってるんだって事は3分の1程度しか伝わってない。



それでもいい。

うんん……それじゃいや。



少しでもあたしの気持ちをわかってほしい。



素直になるって事は難しいよ。



すごく

 すごく

すごく



難しいんだ。





ようやく慶介と結婚出来て、信じられないけど慶介のマンションに住むようになって。


朝、一緒に慶介の匂いがするあったかい布団の中で目覚めて。
息がかかりそうなくらい近くにいる、あなたの前髪にそっと触れて。

寝癖のついた、まだ眠たそうな慶介と向かい合ってトーストをかじる。

新聞に目を通す伏目がちな瞳が、あたしをとらえるたび……それは決まって優しく細められる。



まだ慣れないあたしの手料理を、何だかんだでいつも綺麗に食べてくれて、すごく幸せで。


それだけで、満足なのに。




心って、欲張りだ。



もっと欲しくなる。




あなたの全てを、あたしのモノにしたくなるの。





恋って不思議だよね?


……ね? 慶介。



「はあ……」



ベランダの手すりにもたれながら、あたしは小さく息を吐いた。

昌さんは、ほんの少しでも自分の気持ちを月島さんに伝えられたんだろうか?
そしてアツシ君も昌さんへの気持ちを、少しでも伝えるんだろうか?


口に出さなきゃわからない事だってある。


特に、気持ちと言うのは時に口に出して相手に伝える事も大事なのだ。





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