月と太陽の事件簿6/夜の蝶は血とナイフの夢を見る
夜の蝶は電気羊の夢は見ない
「東久志の遺体が見つかったわ」

事件解決から三日後。

あたしは警視庁近くの喫茶店で、達郎に事件の報告をしていた。

横倉は東に店を持たせるための契約書を作るから弁護士を交えて話をしようと誘い出し、そのまま東を殺害した。

遺体はいったん隠して、バラバラにしてから捨てるつもりだったらしい。

「岸警部の話だと、横倉は気味が悪いくらい素直に取り調べに応じているそうよ」

ここであたしは身を乗り出した。

「達郎に言われた言葉が効いたんじゃない?」

「さァね」

アイスココアをすすりながら、達郎は気のない返事をした。

ちぇ、やっぱ乗っかってこないか。

珍しいもの見た気がしたから話のタネにしようと思ったのに。

「それじゃさ」

あたしは話題を変えることにした。

「達郎はどこで事件のトリックに気づいたの?」

「東の証言を聞いたあたりかな」

それってかなり最初の方じゃないか。

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