コンビニラブ
#8
あの日の記事について、アンはノーコメントを決め込んでいた。


確かに、
記事に書かれていたようなことも、
二人の関係も
一切デッチアゲなワケだし、

写真も、偶然居合わせたカメラマンによるものなのか、
性能も位置もあまり良くなく、
ケータイを片手に喋り込む伸治の顔は、
誰にも見分けられなさそうなデキだった。


これで分かるのは、
本人達二人と
クルマの持ち主であるオーナー一家と
ちょうど電話で話をした吉野といった、
このマンションの住民である、
身内ぐらいなものだ。


その身内の中に、
由衣の存在がカスリもしていなかったことに、

伸治は、何一つ警戒をしていないなかった。



『迷惑をおかけました。』

『あのくらい、どーってことないよ。ただ、しばらく朝の送りは若旦那がやるって…てことは、その間の俺のシフト時間が不安なんですけど!』

『ホントごめんなさい!』


伸治とアンの関係はと言うと、
この近い距離で、
完全に、メル友化していた。
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