〜花魁〜
chapter.9



――ガチャ。



玄関のドアの開く音がして、急いでかけよる



『…空!?』



そんな訳ないのに…

ちゃんと分かってるつもりなのに…



「先に、帰ってたんや…?」



そう言って、喪服に身を包み、苦笑いをする花が立っていた。



『は…な…。』



期待する事自体が変なのかもしれないけど…

玄関のドアの音が聞こえた時、無意識に“空や!!”って思った―…。




「お腹…空いてるやろ…?」


『…空いてない。』


「ずっと、食べてないやん!!」


『うるさい…。空いてないって言うとるがな!!』




空に似た顔で、俺を見る花の目が気に入らない。


空に似た顔で、心配そうに俺を見る花の顔が気に入らない――。






『出て来る…。』




そう言って、財布と鍵だけを手に取り

外に飛び出した―…。




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