不器用なLOVER
Sixth truth
「透弥さん…」

繋いだ手を引っ張る

「何?」

振り返らずに答えた

「いつから気付いてたの?」

含み笑う声

「店で、晶が乗り出して見てる時から気付いてたよ。
頃合を見計らって待ってたんだ」

そんな前から気付いてたの

「デートなんて誘わなくてもいいのに…」

思わず溢れた本音に、

歩を緩めず振り返って答える。

「デート?誘ったつもりないけど少し付き合って欲しいって言っただけだよ?」

そういうの誘ったって言うんだよ
上目使いで見上げる。

私はずっと会えなくて…

「離れなくても良かったじゃん…寂しかったんだから」

私を見つめていた透弥さんは、
眼鏡を指で押し上げて、

「晶は素直過ぎるから顔に出るでしょ。警戒されたくなかった」

視線を外すように前に向き直る。

「僕だって、寂しかったんだ」

それを聞いて嬉しくて、

前に回り込む

「私に会いたくなった?」

顔を赤くして目をそらし

「相変わらず、自惚れてる」

何よ。
私は会いたかったんだから。

頬を膨らませ立ち止まってしまう

透弥さんの手に引っ張られ渋々足を運んでいると、

溜め息を吐いて、透弥さんが立ち止まった。

私を真っ直ぐ振り返り、

「言っとくけど僕怒ってるから」


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