BaD
―STAGE2 a merchant of death―
空を見上げていた。

僕は空を見上げるのが昔から好きだった。

昔といっても、僕に昔の記憶はない。

かすかに、いつもそうしていたような気がしていただけだ。

僕は珍しく仕事が休みで自宅にいた。

見上げた空は紅く染まり、鳥達も次々と我が家へと帰っていく。

小学生に上がったばかりの長男がそろそろ帰ってくるころだ。

長男の上には中学三年になる年の離れた姉もいるが、彼女は部活で帰りは遅い。

空から目を離し、視線を手に取った新聞へ移すと、玄関のほうから慌ただしい足音と元気のよい声がした。

「ただいま、お腹空いたよぉ!」


長男、空の声だ。

慌てて妻、叶が玄関へと急いだ。

「おかえり、空。もうこんな時間だったのね。」


すぐに作るわね、と息子に伝えると妻はまた慌ただしくキッチンへと戻っていった。

がくんっと肩を落としてよたよたと息子は僕のいるリビングに顔を出した。

するとさっきまでの態度とは打って変わって、また元気のよい声で言った。


「父さん、今日は休みだったんだ!実は話したい事があるんだ。」


普段父親とは家族にうとがられたりする存在だが、僕の場合あまり家にいないため、子供たちは少しばかり寂しい思いをしているのだろう。

そんな時は大体悪びれて、息子を抱き上げ大きくなったなぁと頭をクシャクシャに撫でてやるのだが、今日はそんな気分ではなかった。

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