俺が大人になった冬
(7)真昼のクリスマス



エリナと別れてしまい収入源を失ってしまった俺は、生活資金調達のためバイト探しをしなければならなくなった。

ヒサのバイト先で、そのまま使ってくれると言ってくれたのは有り難かったけれど、家からの距離と、深夜帯に働いてしまうと、昼間寝てしまい彼女と会えなくなるということがあり、もったいなかったが断ってしまった。

雑誌やネットで探す中、家の近くのよく行くコンビニに『バイト募集』の張り紙があるのが目に入り、声をかけてみたところ、店員に顔を覚えられていたことも有利に働いて、結局そこで雇ってもらえることになった。

コンビニバイトは時給900円も満たないけれど、ごくたまに期限切れの弁当なんかがもらえることもあり、その分食費が助かるというメリットがある。

そういう点では、コンビニより飲食店の方がいいのかもしれないが、飲食店は制服やトレーで食べ物を運ぶといった『ちょっと照れ臭いようなこと』をしなければならない。

同じ接客でもそれをするよりは、コンビニの方が自分には合っているように思えたのだ。

今までたった数時間女と一緒にいて、ヤルだけで万単位の金がもらえていたというのに、コンビニでは1日5時間働いても4000円そこそこ。金を稼ぐということの大変さを改めて実感していた。

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