ストーカークラブ
プロローグ
 東京出身の俺は、子供の頃から夢があった。
 緑に囲まれた静かな場所で、いつか暮らしてみたい。

 東京から飛行機と船で四時間の、小さな島にある格安の一軒家を、たまたまネットで見付け、すぐに交渉をし、購入する事ができた。やっと夢が実現する事になったのである。

 そして信太は今、妻の優子と引越しの為に荷物をまとめていた。


「信太〜、この段ボール押入れの奥に入ってたけど重いよ。中身何これ?」


 身長はそこそこあり、体型もすらりとしている優子のほっそりした腕では重いのだろう。荷物を落としそうになっている。全体的に細い優子とは対称的に、腕は平均よりも筋肉が付き、ガッシリとした体格の信太は、軽々と優子から荷物を受け取った。

 中身何だっけ? その時、段ボールの底が抜けバラバラと中身が落ちた。
 そして子供の頃集めていたフィギュアやお菓子に付いてくるカードなどが床に散らばった。


「オモチャばっかりじゃん。もうっ! 信太、片付けといてよね! じゃあ私は隣の部屋の荷物まとめるから」


「分かったよ。ちゃんと片付けて、この辺の荷物まとめとく」


 優子はスタスタ隣の部屋を片付けに行ってしまった。


< 1 / 43 >

この作品をシェア

pagetop