ストーカークラブ
第一章 始まり
「信太〜こっちこっち。もう遅いよ〜待ってたんだからね。何してたの!」


 大学の近くの居酒屋で飲み会をしようと誘われていたのだが、さっきまで地元の仲間とカラオケに行って盛り上がっていたので、信太は待ち合わせの時間に間に合わなかった。

 遅れてきた信太を呼び、怒り気味なのは、最近付き合い始めたばかりの彼女である美奈子だ。

 美奈子は今まで付き合ってきた歴代の女には居ないタイプだった。信太が付き合ってきた女は、流行のファッションを身に纏い綺麗で性格も明るい子ばかり。しかし現在付き合い始めた美奈子は、今までの女とは対称的で、正直言って顔は肌荒れがひどく、目も細い。お世辞にもかわいいとはいえない。それに服はダサく、髪型も一昔前に流行ったであろう聖子ちゃんカット。昭和の雰囲気たっぷりだ。信太より八個も年上だからだろうか。背は低くぽっちゃりとしている。性格は明るいというより、明るい女の子を演じている様に見える。


「信太、来るの遅いから飲み始めちゃったぞ!」


 そう言ったのは同じ歳の順。
 順も美奈子同様、昭和の雰囲気たっぷりな人物である。と言うのも、一切ファッションに興味がないらしく、服は着れれば何でもいいらしい。ごく普通の体格であり昭和を匂わす、もみあげのない髪形だ。性格は、どちらかというとおとなしいが、何とか娘っていうアイドルグループの話になると急に饒舌になるのだ。

 気になるのは、俺が他の奴らと話していると、順は必ず恨めしそうにじ〜っと俺を見ている。何を考えているのか分からないタイプだ。


「まぁまぁ、これで揃ったし乾杯しますか!」


 こうしてまとめるのは落ち着いた雰囲気の白石さんだ。彼は三コ年上で少しふっくらした体型であり、背もかなり高く、物腰が柔らかい穏和な人物だ。白石さんには綺麗な彼女がいるらしいが、連れてきて下さいよ〜と言っても、何かと理由をつけて一度も紹介してくれない。写真すら見せてくれないのである。余程、他の男には会わせたくないほどイイ女なのだろう。



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