ストーカークラブ
第六章 心の闇
 明日は卒業だと言うのに、美奈子も順も来なかった。

 正直言ってほっとしたのも束の間、昨夜また、携帯に何度もかかってきた非通知や、自宅への執拗な無言電話を思い出していた。

 昨夜は一晩中かかってきたため、信太は気分が悪く一睡も出来なかった。

 自宅の電話番号は、ここ二、三ヶ月くらい前に新しくしたばかりなので、地元の信頼出来る仲間にしか教えていないはず。いや、確か美奈子に実習グループの連絡網作るから教えてって言われ、自宅の番号を教えたんだ……。地元の仲間以外で自宅の番号を知っているのは、美奈子と順と白石さんの三人。やはり昨夜の犯人は三人のうち誰かだろう。
 
 そんな事を考えていると、白石さんに声を掛けられた。


「今日は順くんも美奈ちゃんも休みだねぇ。信太君、今から食事一緒にどうかな?」


 今日は午前中で終わりなので、もうすぐお昼だ。

 信太は何故だか分からないが、白石さんに、嫌がらせの電話やメールの件を話してみようかなと思った。この前から白石さんの様子も窺っていたが、携帯をいじる他に怪しい雰囲気は見付からなかった為、信太は白石さんに話す気になったのかもしれない。

 後に、新たな疑心暗鬼に陥る要因になるとはその時、考えもしなかった。


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