お前じゃない
被害者 1
 食堂には六人の社員が集まっていた。

 社長は料理が得意で、こうして別荘に社員を招待した時は必ず、社長が腕によりをかけてご馳走を作るのだ。奥さんとは別居生活が長い事もあり、社長は普段から料理をしているらしい。


「おお待たせたな! どうだ? 見た目美味しそうだろう? 見た目通り美味いから、冷めないうちにどうぞ!」


 社長は、一人一人の席の前へ料理を並べながら、笑顔で言った。


「美味しそうですね社長。私なんかこの歳になっても料理が下手なんですよ」


「さすが社長です! 仕事も料理も出来るなんて憧れます!」


 秘書の久美子と坂上が、社長の機嫌をとっている。

 社長も褒められて悪い気はしないのだろう、照れ笑いしていた。

 そして真っ先にスープに手をつけたハルが、


「美味いっ! このスープもコンビ二で売ってるカップのより全然美味しい」


「ハル、コンビにのと比べたら社長泣くぞ!」


 ハルの発言に、だいちゃんはすかさずツッコミを入れた。

 みんなは、二人の話しを聞いてクスクス笑っている。
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