お前じゃない
被害者 5
 ハルとポッコリ殿と久美子の三人は、ソファに座っていたが、口数も少なかった。

 当然だろう、七人居たのが、今生きているのは、たった三人なのである。


「俺、部屋に戻るよ」


「そうね、何だか疲れたわね」


 ポッコリ殿が力なく立ち上がると、それに続き、ハルと久美子もそれぞれが部屋に戻って行った。三人とも、次々と同僚が死に、心身疲れ果てていたのだ。
 
 部屋に戻るとハルは、だいちゃんと坂上の事故の事を考えた。

 だいちゃんがもし誰かに突き落とされてたとしたら? 坂上がもし誰かに溺死させられてたとしたら?

 でも分からない……。そこまでして、全員を殺すつもりで犯行を重ねている人物がいるなんて、全員にそこまで強い恨みを持っている人物なんて……いない。まして、今生き残ったポッコリ殿と久美子さんのどちらかが、殺人を犯すとは思えない。

 ハルは動機の面も考えたが、やはり思い当たる事は何もなかった。
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