ビタースイート・キス
本編
見渡す限りの青、蒼、碧――。


望む空は視界を遮るものが何もなく、冴え渡る青い世界だけを映し出す。


「……雲一つ無いし」

呟かれた声に返事はない。

それもその筈。
みんなは今頃、授業を受けているのだから。


なのにあたしは裏庭、それも草村の影となる場所に一人座り込んでいた。


こうして授業をさぼる事は茶飯事――とまではいかないけれど、たまにある。

別にいじめられている訳でもなく、かと言って仮病を使って保健室で寝る訳でもなく、じゃあ何故さぼるのかと聞かれれば、理由は一つ。


あたしは学校が嫌いだった。
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