未来のない優しさ
臆病者の愛しかた




今週末で退職する望の抱えていた案件の振り分けや、俺の新しい担当となった会社への挨拶回り。

自分の本来こなさなければならない仕事も手を抜くわけにはいかず、忙しいなんて言葉だけじゃ足りないくらいに忙殺されている。

そんな中でも、やる気になれば何でもできるもんで。

月末に俺と柚が一緒に生活を始める事ができる家を契約し、引っ越し業者の手配も済ます事ができた。

『健吾の部屋は嫌』

そう言って俯く柚の気持ちの理由がわかるだけに、早く決めて柚を安心させてやりたかった。

『俺が全部準備するから、仕事だけに体力使え。…余計な事考えて…俺から逃げるな』

そう言い聞かせた瞬間にびくっとなった柚の肩が、俺の言葉が当たっていると伝えるようで、かなり…こたえた。

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