【完】最期の嘘
第七話『それでも、好き。』

今年は寒暖の激しい冬なせいか、二月になるのにまだまだ寒い。



そんな東京。とある下宿にストレートの黒髪を揺らし入って行く女の姿。



汐は、マンションから離れ、大学に近い小さな下宿に移り住んでいた。



美恵との密会があったあの日の夜に、汐は大学の友人の祖母が下宿をしているのを知っていため交渉し、一週間という短期間で引っ越したのだ。



携帯も解約し、礼治はもちろん、優太とも連絡を取れないように



……もう二度と、思い出さないように、心の中に空白を上書き保存した。
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