フェイクハント
第三章　一・任意同行
　涼と典子は同じベッドに腰掛け、二階の一室で話しをしていた。


「涼、どうして遥まで殺されたのかしら。チェスターはわざわざ、お通夜に誰かを殺しに来たってこと？」


「まさか……、でも変よね、偶然にしては、立て続けに私達の仲間が殺されるなんて」


　涼は顔をしかめてそう云うと、「お手洗い行ってくるわ」と立ち上がった。

　すると部屋を出てドアを閉める寸前、怒鳴り声が聞こえた。

　ゆっくりと廊下を歩くと、声は典子が案内した、雪絵の部屋から聞こえてくるようだった。


「……最低だな！　だから俺のプロポーズ断り続けてたってわけか」


　その怒鳴り声の主は秀樹だった。そして怒鳴られているであろう雪絵は泣きながら何かを云っているようだったがハッキリとは聞き取れなかった。

　涼は、はっと我に返りトイレへ向かった。

　そして、典子の部屋へ戻る際も、雪絵の部屋の前を通ったが、すでに話し声は一切聞こえなかった。

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