雪情
第5章 逃亡
【捜索ー1】


川上がいなくなってから
数十分が過ぎた。




家の中は隅々まで探し、
外のトイレにも
見つからず、

全員一階に集まっている




もちろん
この事態を聞きつけ、
一番パニックになって
いるのは、
小川である。




「くそ……
どこに行っちまったんだ」




「小川さん、
落ち着いてくださいよ」




そう大久保が
声をかけるが、
小川にとっては
それどころじゃなかった




「そもそも
こんなことになったのは

全部お前のせいだろ!」




と小川は白井に怒鳴った




白井は反応せず
外の雪を眺めていた。




この素気ない態度に
小川は我慢できなかった




「おい!!
人の話を聞け!!」




「よせ小川、
誰のせいでもないんだ」




と言い、荻原は続けて



「川上の靴も防寒具も
猟銃までもなかった。

外に出たとしか
考えられん」




どうやらこの吹雪の中、

どこかへ出た
もようである。




「だけど、
さっき私たちが
歩いてこの家まで
来た時より、
吹雪は強いのですよ?

一体どこへ…」




大久保はそう言い、
窓を眺めた。




「考えうることは
2通りある」




田崎はそう言った。




「どういうことです?」




大久保が聞くと、
田崎は答えた。




「1つは
ここにいるのが嫌になり
下山した。

2つに理由は知らんが
あなた達が探している
雪男を捕まえに
外に出た。

猟銃を持って行ったのが
何よりの証拠だよ。

もうここには戻らない
2パターンだ」




川上は気が強そうなので
小川に対して
会わせる顔がなく、

しかも恥をかいたので
罪滅ぼしのため
自殺しに外に出ると
いうことは、
考えられなかった。




しかし、
それでも川上は女の子。



いくら猟銃を
持っていたとしても
心配である
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