雪情
第6章 第1の殺人
【伝説の開始ー1】


しばらく
少し固まってしまったが
田崎は大声を出した。






「川上さん!!」






田崎の言葉に
やっと反応したのか、
川上は銃を下ろした。






「なんだ、
あなた達だったのね」





と川上はため息をつく。






そんな川上を見て、
田崎は少し呆れた感じで
言う。




「川上さん「なんだ」は
ないですよ。

我々は
心配してあなたを
探していたのですよ?

それに銃まで構えて
どうしたのですか?」




「ごめんなさいね、
心配するのは
ありがたいけど、
私も猟師のプロよ。

ここで雪男が来るのを
待っていたのよ」




急に何を言い出すの
だろうか?




田崎は話を続ける。




「雪男をかね?」




「ここからなら
あなた達の居る
家の様子が分かるし、

その周りで
雪男がうろついていたら
捕まえることもできるわ」




「すると、
そのためだけに
ここに……?」




「そうよ、
だから今
雪男がこの小屋に
入ってくると思って、
間違えてあなた達に
銃を構えてしまったのよ

最初はあなた達が
雪で真っ白だったから
本当に雪男かと間違える
とこだったわ」




「そんなことの為に、
何も言わず家を出たの
かね?

皆心配していたぞ!」




「心配?
なんで
心配なんてするの?」




この答えに
田崎はますます呆れた。




「急にいなくなったら
ワシ達が
心配することは
当たり前だろ?

特に小川さんは
気が気じゃなかったぞ!」




「そうなんだ。

私はそこまで
気がつかなかったわ」




まったく
身勝手な女である。




田崎の説教にも、
川上は何も反省の色が
ないようだ
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