お子ちゃま☆彼氏
休暇


………………・・・・


「今、着いたの。迎えに来て」

良く勝手知った駅を降りた私は、実家を継いでいる兄さんに電話を掛けた。

いつもここへ来ると気持ちが安定する。

よどんだ空気の東京に比べ、この街は空気も澄んでるし、頬を撫でる風も涼しく感じる。

ここは生まれ育った街。私の故郷。

あれから会社に戻った私に下された命令は、3日間の"親孝行休暇"だった。

我が社はちょっと変わっている。親孝行休暇に記念日休暇、家族サービス休暇なんてモノまである。要するに適度に休めという社長の意向らしい。

何で急に? と思わなかった訳ではない。でも、もう正常な思考回路を残してなかった私には、正直有り難かった。

今日は定時で上がり、アパートで物凄い速さで荷造りし、夜の新幹線に飛び乗った。

海里には会わずに済んだ。これでいいんだ。会ってしまったら、きっと私は泣いてすがってしまうから。

ねぇ、海里。
私がいなくなった事に気付いてくれたかな?


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