恋愛ラビリンス―愛しのヴァンパイア―
【第九章】


北校舎3階にある生徒会室。

そこの鍵を持っているのは、会長の藍川と顧問の先生だけ。


生徒会役員って事が2人きりになれる場所を提供してくれて、今ばかりは推薦してもらった事を感謝した。


中庭のベンチっていう選択肢もあったけど、あそこじゃ南校舎からも北校舎からも見下ろせちゃう位置だし。

第一、誰に聞かれるか分からないから落ち着かない。


今から藍川がしてくれる話は……、きっと、誰にも聞かれたくない事のハズだから。


窓のカーテンを閉めた藍川は、一気に薄暗くなった教室を見回してから、長机に浅く寄りかかった。

あたしは、その斜め前にある椅子に腰を下ろす。


1メートルちょっとしか離れていないけど、カーテンが日を遮るせいで藍川の表情がよく見えない。


そんな中、藍川が話し始めた。


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