僕はいつでもキミの傍に
2 近藤 健一

事件の現場に向かうと、そこには沢山の野次馬が集まっていた。

「……いやねぇ。強盗かしら?」

「……殺人だってよ」

「……怖いわねぇ」

野次馬たちは黄色いテープで遮られた道路を覗き込むようにして、コソコソとお互いの見解を熱心に話している。

「お~お~。みんなお暇なこった」

そう言って先輩であるベテラン刑事の古川さんが笑った。

「行くぞ、近藤」

古川さんに促され、野次馬の群れの中へと踏み込んで行く。

「はいはい!警察です。どいて下さい!」

野次馬を掻き分ける様にして黄色のテープを潜ると、事件のあった民家の玄関に入る。

民家の周りや屋内では、検察官が忙しそうに行き交っていた。

そのまま長い廊下を進むと、現場であるリビングが見える。

……うっ!

一歩足を踏み入れ、込み上げる嘔吐感に思わず手で口を覆った。
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