かさの向こうに縁あり
Opening―雨空
最近、嫌な夢を見る。


何も存在しない闇の中に私は一人だけで、だんだんとどこかの底に落ちていく夢。


何もない。

ただ闇が広がっているだけ。


私は白の薄いワンピースだけを身に纏い、裸足のままだ。



果てしなく、ただひたすらにどこかへ真っ逆さまに落ちていく。


何か掴めないかと、いつも私はゆっくりと右腕を上に伸ばして手を握る。

だがやはり、物体の確かな感触さえも全く感じられない。



ここは「無」の世界だ。



きっと私の頭の中が空っぽな証拠だろう。

< 1 / 245 >

この作品をシェア

pagetop