美しい花−先生と秘密な関係−【上】
家族の事情
眠っていたあたしを起こしたのは、差し込む朝日や小鳥のさえずりなんかじゃなかった。


携帯のアラームや目覚ましの機械音でもなく、可愛くあたしを呼ぶ声だった。





「桜ちゃん、桜ちゃん」


「ん?」


「起きてよ」


「ん?どうしたのケイくん」





返事は返すものの目を開けないあたしに、乗りかかり体を揺らして起こしてくる。





「ケイくん、重いよ」


「桜ちゃん、起きる?」


「うん、起きるからね」




あたしは眠たい目を開けて、ケイくんのほっぺを両手で挟んで微笑んだ。




< 74 / 411 >

この作品をシェア

pagetop