鬼守の巫女
第一章 月夜の鬼

生温かいアスファルトの上を少し早足で家へと向かって歩く。

友達と学校の帰りに寄り道をしていたせいで、辺りはどっぷりと日が暮れていた。

腕時計を確認すると、すでに時刻は八時四十八分を過ぎようとしている。

……うわ~、遅くなっちゃった。

……お父さん、絶対に怒ってるよ。

色々と口煩い父は今頃玄関で、顔を真っ赤にして私の帰りを待っているに違いない。

帰宅後の父の怒声が早くも頭に響き、大きくため息を吐いた。

< 1 / 912 >

この作品をシェア

pagetop