蓮の苦悩

③男の事情

岡嶋達と話合い
麗奈と二人で過ごそう
そんな事を思っていた時

事件が起こった





最悪な出来事




同期の飛渡が殺された



刑事になって初めて経験する

殺人事件


まさか
被害者が知り合いだなんて
ましてや警察官だなんて
考えた事もなかった


捜査会議で行う黙祷

今までに経験した事の無い
重苦しい空気だった



葬儀は悲しみの中行われた
俺は一人
火葬場の外から天に昇る
飛渡を見送っていた


"なぁ 飛渡 お前がもし
警察官じゃなかったら
死んでなんか
いなかったのかな

麗奈は俺との結婚
迷っていないだろうか

俺…
彼女を幸せにできるんだろうか"

結婚と言う大きな決断を前に

自分は家庭を持てる迄に
成長できてるだろうか

麗奈の人生までも
背負う事ができる大人に
なれているだろうか

そう 自問自答し揺れていた


飛渡の死を見て改めて
自分の仕事が危険を伴う
物だと実感した今

急に何とも言えない気持ちを

抱えていた


そんな俺に

川辺が声をかけてきた

"田崎 どした？
中に入らないのか？"


"あぁ ちょっと考え事してた"