さよならの十秒前

二度目の電話

7月28日。久しぶりの、雨。

私は朝、修介に電話した。

「…もしもし」

「島井です」

「あぁ…」

修介の声は少しだけ、暗かった。

小さく、鼻をすする音がする。

「どうしたの。何かわかった」

「ううん」

紗枝が怪しいことは、伝えなかった。

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